11/6(土)、板倉滑空場で櫻井玲子さんによるEMFT(Emergency Maneuver Flight Training)の実技講座を受講しました。この実技講座は7月に開催されたオンライン学科講座に続く実践のフライト訓練でした。EMFTのフライト訓練は、異常姿勢からの回復操作や索切れといった緊急時への対処を学ぶことを目的としています。
当日は風も穏やかで視程も良く、これ以上にない天候に恵まれました。講師の櫻井玲子さんは数々の飛行記録をお持ちの方で、これまで1,000人以上の訓練生に対してグライダーのEMFT訓練を実施されてきています。EMFT講座の存在は昔から知っていましたが、推奨の受講資格がソロフライトに出たパイロットまたは自家用操縦士保持者だったので受講を見送っていました。今年はようやく機が熟し、講座を受講することにしました。当日、講師の櫻井玲子さんは朝から夕方16:00まで8人の訓練生の面倒をみていらっしゃいました。午前中、4人の訓練生と立て続けに4回飛んで、わずか30分の昼食&トイレ休憩を挟んで夕方の16:00まで新たに4人の訓練生とフライトをこなされていました。その尋常ではない体力と集中力!周りのパイロットの方にお話を聞くと、アンデス山脈で十何時間も続けて飛ぶ女性だから当たり前だよと。
こちらの動画は実際の訓練の様子です。
櫻井玲子さんは長年の経験により、スピンの回復操作も大事だけれども、いかにスピンに入る前の兆候に気づきスピンを回避することが大切かをご指導されています。その考えもあって、比較的低高度で何回にもわたってスピンの初動からの回復操作を練習しました。目線を地面ではなく上に持っていき、操縦桿の力を抜くとあら不思議!そこまで高度を失うことなく機体を正常な姿勢に戻せることを体感できました。
EMFT講座は本当によく練られていて、フライト前後にはたっぷり時間をとってブリーフィングが行われます。今回の受講により、新しい機体や新しい滑空場で飛ぶ際、飛行規程のどの情報を最低限確認するか、飛行機曳航で索切れといった緊急事態に遭遇した時の対処を学ぶことができました。感覚に頼るのではなく、論理的に航跡やアウトランディング(場外着陸)の場所を事前に確認する心構えとその考え方を身に付けることができました。フライトでは普段の操縦の癖や欠点を的確に見抜いてアドバイスをいただき、本当に実技講座を受講して良かったなと思いました。反省点を今後のフライトに活かしていきたいです。
今回、板倉滑空場もフライトでは初めて訪れました。広〜い格納庫、立派なバッテリー充電スペースなどの設備に驚きました。壁には国際宇宙ステーションのポスターが貼られているのがステキでした。
空港では特殊車両の“Follow Me(ついておいで!)”カーが走っていることが知られていますが、滑空場ではユーモア溢れる“Follow You(ついていくよ!)”カーがあったのが印象的でした。