2021年7月3日(土) 公益社団法人日本滑空協会が主催する櫻井玲子さんによるEMFT(Emergency Maneuver Flight Training)座学講座受講

2021年7月3日(土)、公益社団法人日本滑空協会が主催するEMFT(Emergency Maneuver Flight Training)のオンライン学科講座を受講しました。(こちらは有料の講座です)講師は日本のグライダー界の第一人者、櫻井玲子さん。アルゼンチンで1,270キロメートルの長距離飛行の記録を樹立したことから別名「アンデスの女王」とも呼ばれている方です。アメリカのミンデンでは高度34,000フィートのフライトも記録されています。コロナ下と梅雨の時期が重なって、座学でフライトの知識をアップデートする日々。

グライダーにも絶対の安全はないという説明から講義が始まりました。事故の年別滑空機事故統計情報を確認するとその形はノコギリ状で、事故が少ない年が続くと思いきや、油断なのか、ある年に急に事故が増えたりして、事故の頻度は年別に上下することの繰り返しと解説していただきました。1974年から2019年にかけては、27件中17件がスピンによる死亡事故だったそうです。そして、何よりも驚くことは事故で亡くなった方あるいは重大事故を起こした方の操縦士資格を確認すると、ほとんどが自家用操縦士または教育証明(教官の資格)を持っている方々だそうです。櫻井さんは「練習生が事故を起こすことは少ない。練習生から学ぶべきことが多い」とおっしゃっていたのが印象に残りました。「300mメートル(約1,000フィート)以下のスピンはゲームオーバー。スピン訓練は回復ではなく回避訓練が大切」と述べられていました。

※「スピン」とは…「錐揉み(きりもみ)」とも呼ばれる。グライダーをスピンに入れると機首が地面に向き、地面に対して垂直方向に機体が回転し急降下する。

講義はその後も失速のメカニズム、スピンのメカニズム、失速・スピンの兆候と回復、飛行の根拠、EMFT実技実施要領と進んでいきました。櫻井玲子さんは今まで長年にわたり、1,000人以上の訓練生を対象にスピン訓練を実施されてきています。自身の指導経験をもとに、どのようにフライトの安全訓練を改善できるか考えているそうです。EMFT講座を受講すると講義資料も配布していただけます。訓練のいろいろな段階で、飛行の安全に関する座学を受講して気を引き締めることが大切だとつくづく思いました。